そんな様子のお子さまをみて、心配ではありませんか。無事に念願の志望中学に合格して、前途洋々な中高一貫校生活を送って欲しいと、今までの中学受験時の苦労がやっと解放されたと、ほっと安心したのもつかの間。。。

中学入学した瞬間から、今度は大学受験または内部進学に向けて、勉強がスタートしていきます。
そして、学校生活が始まると、徐々に徐々にクラスメートの間で、トップクラスから落ちこぼれまで成績に差が現れてきます。

実際、私が大学受験指導をしていたときも、中高一貫校に通っている子で高校基礎レベルはおろか中学レベルの問題すら満足にできない高校生・浪人生が少なからずいました。

「えっ、この子は、あの○○高校の子なの?」
と、内心驚いてしまうほどの有名な中高一貫校であることもしばしばでした。

一生懸命頑張って難関中学の入試を見事突破し、念願の中学に進学したのに、なぜ彼らは落ちこぼれてしまったのでしょうか。
実は、良くも悪くも中高一貫というカリキュラムに、その理由があります。

まずは、中高一貫校に通うことの良い点と悪い点の両方を把握することが大切です。
それらを踏まえて、落ちこぼれの仲間入りを防ぎ、大学受験につながる有意義な中高一貫校生活を送っていただきたいと思います。

私立中高一貫校に通うお子さまのための正しい勉強方法

まずは英語と数学の学習を軌道に乗せましょう
私立中高一貫校では、授業の進む速さ(進度)と内容の深さ(深度)が圧倒的に大きくなります。特に、算数から名前が変わる数学と、中学校から本格的に履修科目となる英語は、公立中学校では考えられないほどの進度と深度で授業が行われていきます。

逆に言えば、英語と数学にこそ、私立中高一貫校ならではの優れた指導方針が反映されているといえます。

私立中高一貫校で好成績を維持するには、授業に乗り遅れないことが非常に大事です。授業で学んだことは、その日のうちにやったことを振り返って理解し、さらに練習問題を自力で解けるレベルにまで仕上げておくことが望ましいでしょう。つまり、授業の理解と定着を促す対策が大切です。

定期テスト直前にまとめて復習するのでは、学んだことはほぼ全て忘れ去っていると言っても過言ではありません。日々の復習を怠らないことがカギと言えます。毎日の復習(授業の振り返り)が難しければ、せめて日曜日には1週間分の復習をしっかりと行いましょう。

「毎日の復習」を怠らなければ、定期テスト直前に慌てたり、テスト結果に泣いたりすることはありません。毎日の復習がテスト対策に直結するのです。

特に、英語と数学は学習を怠ってはいけません。油断すると落ちこぼれるのはあっという間です。この2科目の授業は、その進度と深度の流れに乗りましょう。

《英語の学習法》
最近では小学校で英語の授業を取り入れられていますし、幼い頃から英語の塾に通っているケースも多いので、英語とはどんなものか、という「雰囲気」は分かっているお子さまが多いと思います。

とはいえ、「英語は知っているから(塾でやっているから)大丈夫」と安心しているとあっという間に落ちこぼれるのが、中学校以降の英語です。特に私立一貫校であれば、中学1年次修了時には、公立高校の入試問題を何とか読みこなせるレベルにまで進みます。それだけ学習進度・深度が大きいのです。

英語は最初の一年間が勝負といえます。この一年間の学習内容をしっかりと理解し、授業についていければ、その後の英語の学習は波に乗って、比較的楽に進めていくことができます。

中学一年次の初歩の段階では特に、どんなに些細なことでも、分からないところを油断して放置することなく、こまめに先生に質問するか、自分で辞書で調べるなどして解決しておきましょう。

放置すると、分からないことが雪だるま式に増え、あっという間に授業についていくのが大変になります。一学期の中間テストは何とか凌げても、期末テストの頃にはクラスで後ろから数えた方が早いほど、落ちこぼれになる可能性があります。こうなってしまうと、夏休みの間に集中特訓をして授業に追いつく必要が出てきます。

それでも、まだ大丈夫と放置してしまう、あるいは英語は嫌いと逃げてしまうと、その後の挽回はかなりの苦労を要します。早く波に乗れば早く乗っただけ、後の学習が楽になります。早く英語の波に乗りましょう!

英語の波に乗るために
(1)アルファベットは早急に完璧に覚えましょう。同時にローマ字も完璧に覚えておきましょう。
アルファベットがおぼつかないとその分遅れをとってしまいます。中学校入学後に初めてアルファベットに触れる場合は、とにかく直ちに完璧に覚えてしまいましょう。また、ローマ字は、アルファベットそのものの発音とは厳密には異なりますが、単語になったときのアルファベットの発音は、ローマ字と似ています。このため、ローマ字読みすることで、その英単語をどう発音するか見当がつきやすくなります。さらに、英単語のスペルを覚えるのにもローマ字は役に立ちます。通常の発音からはスペルを綴りにくい単語も、ローマ字読みで綴ると正しいスペルが書けることも多いです(例:美しい「beautiful」→「ベアウティフル」)。まだローマ字を修得していない場合はぜひ覚えましょう。

(2)英単語は、目に触れる回数をとにかく増やすことで覚えましょう。
中高一貫校のテストは、記述式が圧倒的に多いです。英単語や英文を書かせる問題に正答するには、正しいスペルで英単語を書く必要があります。英単語を覚えていくことは、英語を学習する上で切っても切り離せない作業です。英単語を多く覚えればそれだけ読める文章も増えます。英単語を覚えるのに効率的なのは、とにかく「目に触れる頻度」を増やすことです。何回書くかより、何回見るかです。記憶に残すには、とにかく記憶したいものに触れる頻度を増やすのが効果的です。書けば書いただけ手が覚えていきますが、その分時間も手間もかかります。しかし、記憶に残すなら、その英単語を見る頻度を増せば同じ効果が得られます。まず始めは英単語の綴りを確認しながら1~2回書いてみましょう。その後に、英単語を暗記する段階になったら、短時間で大量の単語を見る作業を複数回繰り返すのがコツです。長時間(例えば1時間)かけて1回ずつ100個の単語を書いて覚えるよりも、短時間(例えば10分間)で100個の単語をパッパと速読するように見ていく作業を6回繰り返した方が、記憶に残ります。

(3)教科書は、声に出して「外国人」になった気持ちでスラスラ音読しましょう。
音読は非常に大切です。授業でも、教科書をネイティブスピーカーの先生による朗読や、録音されている音声データで、教科書の英文を聴きます。ネイティブスピーカーの発音やアクセント、リズム、ストレス(一呼吸入れるところ)を真似て、外国人になったつもりで自分でも声に出して教科書を音読してみましょう。スラスラつまずくことなく読めれば合格です。

(4)副教材の問題集は解いて答え合わせし終わった後が大事!
副教材として用いられる問題集には、①選択肢を選ぶ問題、②例文を条件に合うような英文に変える問題、③与えられた単語を並べ替えて英文を作る整序英作文、あるいは日本語文から英文を作る一般的な英作文問題の主に3種類の問題が収録されています。

①選択肢を選ぶ問題では
正しい選択肢がなぜ正解なのか、その根拠を言えるようにします。消去法で正解を選んだのなら、間違えた選択肢はなぜ不正解なのか、その根拠を言えるようにします。解き直しの際は、根拠をもってスラスラ正答できることを目指します。
例 「主語はHeで三人称単数なので、動詞のcomeは三単現のsがついたcomesの(ア)が正解。」

②例文を条件に合うような英文に変える問題では
例 「例文:He plays baseball. 条件:疑問文にする 正答:Does he plays baseball?」
見事に正解した場合には、例文および正解した英文ともに音読を3回以上繰り返します。理想的には両文ともに丸ごと暗記してください。英文を丸ごと暗記することにより、英語の型(語順)や言い回し(表現)が自然と身についていきます。覚えた英文を雛形として、そこに英単語を入れ替えれば、何通りもの英文を作ることができます。つまり、記憶した英文は、英作文問題で役立つだけでなく、英会話も難なくできてしまうというステキな威力も発揮します。英文丸ごと暗記は、社会に出ても通用する英語を習得するのに有効な初期段階の学習法と言えるでしょう。一方、答えが不正解だった場合には、まずは、解答解説をしっかりと読んで、なぜ間違えてしまったのか、その理由を明らかにします。次に、例文と正しい英文を音読します。正しい英文は音読回数を増やして繰り返し声に出すことで正しい英文を身体に覚え込ませましょう。ぜひ、上記理由から、例文と正答の英文を丸ごと暗記してください。

③整序英作文、一般的な英作文問題では
整序英作文でも、普通の英作文問題でも、間違えた場合には、間違えた理由を明らかにしてください。整序英作文で間違えやすいのが、動詞と名詞のように、二つの品詞の役割を持つ単語の場合です。また、英文の語順も間違えやすいです。主語の次には何が来るのか、動詞の後には何が来るのか、前置詞、副詞はどんな言葉の後に来るのか、英語の文型にも意識を向けましょう。次に、正解の英文を音読し、暗記します。仕上げとして、もう一度、問題を解いてみて、ちゃんと並べ替えて正しい英文を作れているか、日本語訳に従って正しい英文を作れているか、確認してください。

(5)リスニング力アップには、ラジオの英語講座がおすすめ。
英語の授業は、主にリスニング重視の授業と、文法や読解重視の授業の2つが行われます。リスニング力を向上させるには、もちろん英文に慣れる耳を養うことが必要です。耳が養われれば、自らが発する英語の発音や抑揚も自然とネイティブスピーカーレベルに近づけることができます。英語の耳を養うのに、高額商品は不要です。英語初級者であれば、ズバリ、NHKラジオの英語講座を利用しましょう。初級者には「基礎英語」が最適ですが、上級になれば「ラジオ英会話」、「ビジネス英語」等、レベルに応じた講座がたくさん放送されています。かくいう私も、小学4年生から「基礎英語」をスタートし、続基礎英語、上級基礎英語、ラジオ英会話、ビジネス英語と色々とお世話になりました。留学したときに発音が美しいと現地で誉められたのも、このラジオ講座のおかげだったかもしれません。

《数学の学習法》
小学校の「算数」は、「数学」に変わります。そして、数学は「代数」と「幾何」に分かれます。数学の学習ポイントは、「速く正確な計算力を養う」こと、「解法にツッコミを入れる」ことと、「自力でできるようになるまで繰り返す」ことです。英語と同様、数学においても、授業を聴くだけで自分の頭や手を動かさない学習スタイルだと、分からないところも分かったつもりになって放置されやすく、定期テストになって青くなること必至です。授業で解いた問題も、実際に自力でできるようにしてから次に進む、という学習習慣をつけ、早く数学の波に乗りたいものです。

(1)速く正確な計算力を養う
中学受験で計算問題に苦労したお子さまもいらっしゃるかと思いますが、中学数学、高校数学と進むにつれて、問題を解く方針を立て解法を考えることがより一層大切になっていきます。当然、制限時間のうち解法を考えるのに割く時間が増え、解法が見えたら残りの時間で一心不乱に計算式を解いて答えを導いていきます。方程式を解くなど実際に計算する過程に割かれる時間は、できるだけ削り最小限に留めるのが理想的です。今のうちに速く正確に正答を導ける計算力を養っておきましょう。計算ドリルのような問題集を自習用に購入し、毎日5~10分「制限時間内に一定の問題数を解く」という地道な訓練に取り組むことをおすすめします。制限時間を設ける、ということがポイントです。まずは数学の「いろは」である四則演算や分数計算を何の苦なくスイスイ解けるように!中学3年生や高校生になっても簡単な方程式を解くのに手間取ったり計算ミスをしたりする子が見受けられます。これは明らかに「いろは」レベルの初歩的な計算を速く正確に計算できる力が不足しているからです。

(2)解法にツッコミを入れる
数学では、問題の解法を丸覚えしていくという学習の仕方はもはや通用しません。一つの問題を解くのでも、複数の解法の組合せで解く必要があります。簡単な問題とは、「単純な解法」の組合せが少ないため答えに導く方針が立てやすい問題のことですし、難しい問題というのは、この組合せが増えて複雑化し、方針がすぐには見えない問題のことを言います。問題を解くというのは、まさに自分が持ち合せている「単純な解法」を色々と組み合わせて答えを導く方針を立て、その方針通りの手順を踏んでいく作業と言えます。たとえ話をするならば、問題というのは、私たち主人公が倒すべき敵キャラです。その問題の解法というのはその敵キャラを倒すことのできる複数のアイテム・武器(=単純な解法)の組合せ、すなわち武器の「セット」「詰め合わせ」なのです。武器セットをセットのまま使っていたら、その敵キャラしか倒せません。しかし、セットを崩してひとつひとつの武器に分解できれば、そのひとつひとつの武器は、別の敵キャラを倒すときのひとつの武器としても利用することができるのです。よく「応用力がある・ない」という言葉がありますが、これは、一つの問題を解いたときにその解法を「武器のセット」としてしか使えていないのか、セット内の武器にひとつひとつ分解して、その武器を他の問題にも使えるようにするのか、ということです。解法を丸覚えすると、当然その解法が「単純な解法の組合せから構成されている」という前提に意識が向きませんので、武器セットをセットとしてしか使えません。そのセットに適した敵キャラしか倒せませんから「応用力がない」ということになってしまうのですね。解法の流れというのは、敵キャラを倒すために、どんなアイテムをどんなタイミングで使うか、という「使う武器の順番・手順」です。解法をひとつひとつの解法(工程)・手順に分解していくことに意識を向けていきましょう。それには、ズバリ、解法にツッコミをいれる、のが効果的です。授業中に先生が書かれた板書の解説でもよいし、問題集の解答解説でもよいです。そこには解法の「流れ」が計算式となって羅列されています。そこで「この式は何を求めているのだろう?」「どんな目的でここにこの式が入っているのかな」「どうしてこんな変形をしているのだろう」といった要領で、ツッコミを入れてください。そして、その答えを自分で考えるのです。分からなければ先生に質問しましょう。解法の流れの中で不明点がなくなったら、その解法について「ここの部分は、まず○○を使って、△△を求めるためにやっている計算部分、ここの部分は××公式を使って※※を求める過程部分」というように、解答解説に細かくコメントをいれてください。このように解法の流れを、まるで料理本の「作り方」のように、「まず始めに※※のために○○をする、次に★★を求めるために△△をする、次いで××をする・・・」というひとつひとつのステップ(工程)を手順にして、頭の中にインプットしていきましょう。 こういう意識づけをしていくと、自分が間違えた問題では自分はどのステップができなくてその問題を解けなかったのか、という「自分のできなかった点」が明確に浮き彫りにされるので、自分の知識のアナ埋めがし易くなります。

(3)自力でできるようになるまで繰り返す
多くの私立中高一貫校では授業の内容レベルが高いので、定期テストでは授業で学んだことが確実に身についているかをチェックされます。ですから、授業で学んだ教科書や副教材の問題が自力でスラスラ解けていれば、(テストには教科書や副教材以外の難問も数問含まれているので満点は厳しくても)かなりの高得点は狙えます。つまり、学校から与えられた教科書や副教材の問題をできるようにすれば良いのです。それでも高得点が取れないとしたら、それはなぜでしょうか。理由は簡単です。解答解説を聴いたり読んだりして「そうやって解けばいいのかぁ」と理解ができると、「できたつもり」になって自分の手を動かしていないからです。わかったこととできたことは異なります。わかっただけでは頭に定着しません。すぐ忘れてしまいます。いざ試験に出されると、「あれ、これやった記憶はあるのになぁ」とやった記憶はあるけれど、自分でできるようにしていないので、やれないのです。ぜひ、説明を聴いたり解説を読んだりして解き方が理解できたら、それで終わりにせず、今度はノートや解答解説を見ずに自分の手を動かしてもう一度その問題を解いてみてください。そして自力でできるようになるまで何度も繰り返して解き直しをしてみてください。中学校からその習慣をつけておけば、これから先、数学で困ることは無くなるはずです。

私立中高一貫校入学後に、中学受験で苦労して身につけた学習習慣の下で、中学生からの正しい学習法を身につけて学習を進めていけば、効率的に好成績を保つことができます。時間を有効活用できますから、学業と部活動・プライベートとの両立が容易になります。

ぜひ、効率的な学習で充実した学校生活を満喫してくださいね。

愛知県の私立中高一貫校に通うお子さまのための授業対策とテスト対策

(例)東海中学

東海圏以外の中高一貫校に通学しているお子様もサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。