日能研は、全国展開をしている、日本最大規模の中学受験専門塾です。受験生情報を膨大に持つため、日能研は「データの日能研」といわれるほど、質が高い有益なデータを十分に提供しています。

最大の特徴は、毎週行われるカリキュラムテスト(通称カリテ)と1ヶ月に1回程度行われる公開模試です。特に、日能研主催の公開模試の合格判定は信憑性が高く、中学受験三大模試の一つといわれています。公開テスト等でもらえる成績資料はとても豊富で、R4と呼ばれる80%の合格可能性のある偏差値もかなり正確です。

公開模試やカリテのデータは全てウェブ上のMYNICHINOKENから取得できます。

テキストは、日能研独自のテキストを使用しています。「授業用テキスト=本科教室」、「復習用テキスト=栄冠への道」、「基礎トレ用テキスト=計算と漢字」と目的別にテキストが分かれており、とても使いやすいつくりとなっています。

さらに、各授業の進み具合やその内容は、MYNICHINOKENの「授業のあとで」に公開されることもあり、クラスや校舎間による質のばらつきが比較的少ないことも特徴です。

日能研に通っているが成績が伸び悩んでいる生徒の2つの共通点

1)週末のテストに追われ、テスト結果に一喜一憂している
2)カリテでは何とか高得点が取れるが、公開模試では取れない
他の塾も同様ですが、日能研でもカリキュラムの進度は早く、一週間に1単元が終わり、その復習テストとしてカリテが行われます。また、ひと月に一度の公開模試では、1ヶ月間で進めた単元を中心とした内容が出題されます。

カリテや公開模試は、学習の進捗状況を確認できるというメリットがある半面、デメリットもあります。それは、テストの成績がクラス分けや席替えの判断材料になるため、そのプレッシャーから、日々の家庭学習が、目先のテストで点数を取るため(だけ)の勉強になりやすいという点です。目先の点数にこだわるあまりテストの直前対策を行えば、家庭での学習時間が圧迫され、普段の授業の復習が疎かになってしまうのです。

そもそも、カリテでは、その週に学習した内容が出題範囲と決まっているので、出題範囲を復習することは必須です。しかも、授業内容の理解をしっかりと深めるという復習を行ってから、問題演習などを行ってテストに備えるという段階を順に踏むことが大切です。

しかし、消化不良のまま「演習問題を解きさえすればよい」という付け焼き刃的なテスト対策を行ってしまうと、一時的にカリテの点数をあげることはできても、知識が定着しないことから、公開模試では成績の波が大きくなり、中長期的に成績が低迷してしまうのです。

理想的には、1回の授業とその直後の復習で、学んだ単元の内容を修得し、且つテスト対策を行っていく必要があります。ですから、日々の家庭学習で、授業の復習とテストの対策を同時並行で行なわなければなりません。効率的にうまくこなさなければ、まさに、「テストに追われるように勉強をこなす」状態に陥ります。

また、多くのお子さまに当てはまりますが、新しい問題に挑戦することは好きですが、同じ問題を解き直すことに抵抗を示しがちです。ですから、テストの結果と向き合い、自分の現状を知ることは、とてもストレスのかかる作業です。まして、うまくいかなったテストの結果を分析し、その分析結果を踏まえてどう有効な対策を立てるか、ということができるお子さんは殆どいません。多くのお子さまは、結果に捉われて一喜一憂する(そして多くの場合はモチベーションが下がる)のが関の山です。「理解のモレヌケがどこかを明らかにし、それに基づいて対策を立てる」という本来のテストの目的を見失います。

お子さまのモチベーションを保ちながら、テスト結果を有効活用できるようにするのは、ご家庭にとって至難の業です。

対策

1)まずはその週に授業で触れた問題は、自力で「完答できる」ようになるまで繰り返す
2)カリテの解き直しで「みんなは解けたけど自分は間違えた」問題を、自力で完答できるまで繰り返す
全ての基本は、学んだことをしっかりと理解して、触れた問題を自力で解けるようになるレベルまでにするという「復習」です。ここで、先生の書いた板書を写したノートやテキストの解答解説を単純に見返しながら解き方を振り返るだけでは不十分です。その板書や解答解説の内容に対して、極端に言えば、板書や解答解説の一行一行に対して、「なぜそうなるの?」「なんでそこはそうなの?」とツッコミをいれていくような復習が大事です。

例えば、「四角形ABCCDはひし形なので、四角形ABCDの面積は(対角線の長さ)×(対角線の長さ)÷2で求められる。したがって、8×8÷2=32 答え32cm2」とノートに書いてあれば、「なんで四角形ABCDは菱形だと言えるの?」「なんで菱形の面積は(対角線の長さ)×(対角線の長さ)÷2で求められるの?」と自分でツッコミを入れていく感じです。

そのツッコミに対して、自分で「それは、○○だから」とスラスラと理路整然と理由説明ができれば合格です。

ツッコミと理由説明が言えるようになるくらいまで解き方を理解することができたら、今度は、その解き方を、手順を追って、あたかも友達に説明してあげるかのように説明できることを目指します。それができるようになった状態で、自力で完答できることが重要です。それができない状態では、自力で完答することができたとしても、解き方を(根拠も理由も分からずにただ)丸暗記しているだけ、という可能性が高いからです。

また、カリテの本来の目的は、「自分の理解のモレやヌケを明らかにする」ことです。もちろんカリテの結果は、クラス替えや席替えの判断材料になりますから、カリテのテスト対策に意識がいきやすくなるのは当然です。しかし、本来の目的を見失って結果に一喜一憂してしまい、勉強のモチベーションが上がったり下がったりするのは、受験という長い目で見たときに非常に不利です。「自分のモレやヌケを教えてくれてありがとう」という気持ちで、次回似たような問題が出たときには間違えないようにするために今できるようにしよう、という前向きな姿勢で、(嫌がるかもしれませんが)カリテの間違えた問題で正答率の高かった問題のみ解き直していきましょう。東海中学や南山女子等の難関校志望であれば正答率30%以上の問題、名古屋中学や愛知中学といった中堅校志望であれば正答率45~50%以上の問題で且つ自分が間違えてしまった問題は、必ずできる(=自力で完答できる)ようにしておきましょう。

6年生の場合、夏前までのカリテで点数が悪くても、愚直に毎回カリテの復習をして、できなかった問題をできるようにしておけば、2学期以降の実戦演習期に入ると、自然とその努力は公開模試の成績として報われますし、何より入試本番で勝利を勝ち取ることができます。ゴールはカリテや公開模試ではなく、志望校の入試なのだということを、肝に銘じて、その本番での本当の勝者になることを信じて真摯にカリテの復習に励んでください。